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旅とデザイン 京都から世界へ・・・

国内外を旅をしながら、デザインとブランディングで各地のみなさまのお役に立つことを目的とした事務所です。デザインが人々にとって価値があるように、またデザインさせて頂いた地域が元気になることを心がけています。


by atelier-bond

現場から学ぶということ

土と水と生きものが教えてくれる里山の環境

京都府綾部市で借りている、約300坪の土地があります。先日、その土地の草刈り後の片付けと、周囲の溝掃除を行いました。

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一見すると、ただの「掃除」です。
しかしこの作業の中にこそ、設計をする上での学びがたくさん詰まっています。

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この土地は法面があり、何本もの桜の木が植えられています。季節が進むにつれ落ち葉が積もり、雨で流された土や小石が溝をふさぎ、水の流れが滞ってしまいます。側溝が詰まると、水は別の道を探して流れ、思わぬところで地面を削ってしまう。だからこそ、定期的に手を入れてやることが大切です。

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溝をさらっていると、堆積した土の中からサワガニがひょっこり顔を出したり、カエルが跳ね出てきたり、ミミズが動いていたりします。苔が水を蓄え、小さな水の流れが地中から染み出しているのも見える。そうした瞬間に、土地が生きていることを実感します。

「現地に行かないとわからないこと」というのは、まさにこういうことです。
地図やデータの上では見えない、微細な変化。湿り気のある空気や、日当たりの向き、風の抜け方、土の匂い。こうした感覚が、建築を考える上で何よりの情報になります。

掃除をしていると、近所の方々が声をかけてくれました。「最近は鹿が多くてね、夕方の4時ごろになると山から降りてくるんですよ」
「イノシシも出るから気をつけて。あの掘り返された跡、たぶんミミズを探してるんです」

そう教えてもらいながら、実際に掘り返された土を見て、なるほどと納得しました。
動物たちの痕跡も、この土地の一部。
山と人の距離が近い場所では、こうした「生きものの営み」とどう付き合うかも含めて、環境をデザインする必要があります。

最近は熊の目撃情報もあるそうです。
「ここから少し上の方で見たって話があってね」
そんな話を聞くと少し身が引き締まりますが、それもまた山と暮らす現実です。

木造建築を手がける立場として、私は改めて「林業の再生」が建築だけでなく、地域全体にとっても重要だと感じました。
山を元気にすることは、木を使うことだけではなく、森の循環そのものを取り戻すこと。健やかな森があれば、水の流れが整い、そこに生きる魚や虫たちの環境が豊かになります。やがてそれが下流の田畑を潤し、海の恵みへとつながっていく。

そうした「大きな循環」の一端に、建築がどう関わるか。それを考えるためには、やはり現場に立ち、土に触れ、風を感じることが何よりの学びになります。

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設計事務所というと、図面を引く仕事だと思われがちです。
もちろんそれも大切な仕事ですが、私にとっての設計は、土地の声を聴きながら、その場所に最もふさわしい形を探る行為です。

自然と人との間に、新しい関係を築くこと。
それは机の上だけでは決して見えてこない。

この綾部の土地での手入れは、そうした学びの原点を思い出させてくれます。土を掘り返し、水の流れを整え、木々の成長を見守る。そうしていると、建築を「つくる」ことと「育てる」ことの境界が、少しずつ曖昧になっていくのを感じます。

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落ち葉を集めて腐葉土が作れないか?そんな事を考えながら、落ち葉を一定の場所に溜めて見る事に。

建築は、自然の一部でありたい。
それは、ただ環境に優しいという表層的な意味ではなく、人と自然の循環の中にある建築という意味で。

この土地での作業は、まるで小さなリサーチのようでもあり、瞑想のようでもあります。
無心に手を動かしながら、土の感触や風の匂いに耳を傾けていると、都市で過ごす日常の中で忘れかけていた「時間の流れ」を思い出します。

建築とは、風景をつくることでもあり、風景の一部になることでもある。そう考えると、この里山の手入れは、建築の原点に立ち返るための大切な時間なのだと思います。

本を読んでも得られない学びが、現場にはあります。自然は、静かに、しかし確かに、多くのことを教えてくれる。

これからも、アトリエボンドとして「土地と人をつなぐデザイン」を探求していきたいと思います。





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by atelier-bond | 2025-11-04 00:25 | 環境問題 | Comments(0)