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旅とデザイン 京都から世界へ・・・

国内外を旅をしながら、デザインとブランディングで各地のみなさまのお役に立つことを目的とした事務所です。デザインが人々にとって価値があるように、またデザインさせて頂いた地域が元気になることを心がけています。


by atelier-bond

木造の耐用年数

不動産と木造












設計から利回りを考える
ここ数年不動産に関わるプロジェクトが多く、以前から収益型の物件にも携わっており、その都度利回りを検討して来ました。しかしこの2年間で様々な資材が高騰し、収益を考えて設計した場合、『本当に利益が残せるのか?』という疑問があった。

その理由は資材が高騰し、明らかに建設費も上がっているのに、賃貸物件の場合賃料が上がっていない。中には上がっている場合もあるかも知れないが、1ルームマンションで1万円/月に上がっている物件はなかなかないと思うが、実際に建設コストは住宅でも100万単位で上昇している。

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以前設計した木造3階アパート。こちらのプロジェクトで表面利回りが7%。返済期間は25年。金融機関の金利は1%程度。7%という数字は悪い訳ではありませんが、1つ大きな問題が。各種構造には『法定耐用年数』というものがあり、それぞれ以下の数値となります。

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木造の法定耐用年数は22年
木造の耐用年数は22年なのです。これは減価償却のための耐用年数であるため、もちろん22年以降も建物として維持できるのですが、資産価値は22年程度でなくなるというものです。ですから返済期間25年というのは実際には建物の資産価値がなくなった後も支払いが残ることとなります。しかし20年返済では返済の金額が高くなり、返済は早く終わってもリスクが伴うため、25年という返済期間になりました。

木造の耐用年数_e0002951_23054451.jpg
鉄骨鉄筋コンクリート造 111.7万円/坪
鉄筋コンクリート造  95.1万円/坪
鉄骨造   75.0万円/坪
木 造          56.9万円/坪
全構造平均        70.9万円/坪

鉄筋コンクリート造と木造では約40万円の差。鉄骨造と木造でも20万円の差。
100坪の物件であれば、鉄筋コンクリートで9510万円、鉄骨造で7500万円、木造で5690万円となります。

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木造の可能性を追求する
利回りが7%ということは、鉄筋コンクリート造だと665.7万円/年、鉄骨造だと525万円/年、木造だと398.3万円/年の家賃収入となります。
全体で1ルームが6戸の賃貸住宅だとしたら、家賃収入は1戸辺り月々、鉄筋コンクリート造だと9.24万円/月、鉄骨造だと7.29万円/月、木造だと5.53万円/月となります。京都市内や周辺市街地では木造の賃料が最も一般的です。鉄筋コンクリート造だから9万円、木造だから5万円という考えで借りられる方は少ないと思います。上記のように鉄筋コンクリートであれば、法定耐用年数が47年なので、返済期間も延ばせます。表面的な利回りで見れば、鉄筋コンクリートの耐用年数で考えた方が投資リスクが少ないように見えますが、これまで木造に携わるものとしては、木造の耐用年数を伸ばすことが出来れば、環境負荷も少なく、投資価値が高まるのではないかと考えます。
※上記の数値は同条件で仮に設定したものです。


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60年は構造の安心を
20年以上木造にこだわり、木にこだわってきたものとして、歴史を見ても木造は100年以上耐えてきました。木の種類や建て方によってその年数は大きく変わりますが、これまで設計してきた住宅も60年は構造が持つことを考えて設計し、木について学び管理してきました。60年という時間は木造住宅に必要な木の成長サイクルだからです。60年前に伐採した木が住宅となり、また新たに植林されて60年後伐採されるまで住宅が保たれると、自然な循環が生まれます。そういう意味でも60年耐えられる木造建築を考えなければなりません。

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杉にこだわる理由
上の写真は宮崎県の木材利用技術センターに勉強に行った際に見たサンプル。アカマツ、ホワイトウッド、スギは現在の日本の木造建築でよく使われる材種です。これは木材に害を及ぼすシロアリと腐朽菌の影響をどれだけ受けるかを実験した検体。三ヶ月地中に埋設したもので、スギが一番長く残り、ほとんど侵されていません。しかしスギと言っても日本国内の全てのスギにいえることではなく、宮崎県の飫肥(おび)杉がシロアリと普及菌に強いのです。アトリエボンドはこの飫肥杉を15年以上使ってきました。飫肥杉は昔、宮崎県では船の甲板に使われていたほど強い木です。アトリエボンドではこの杉と出会ったことで、木造の可能性を追求するまでになりました。


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杉だからいい訳ではない
たとえ耐久性のいい木材を使っても、使い方を間違えると上の写真のようにくちてしまいます。上の写真は築10年でこのような状態に。木造3階建ての玄関ポーチの通し柱でした。実際建物も傾き、外壁のサイディングも外れかけており、放っておけば倒壊していたかも知れない状況でした。しかしきちんとした技術で最善の施工法で建てることが出来れば、過去の日本建築が証明しているように、100年耐えられる木造建築が可能となります。



資材が高騰している中、木材を上手く活用し、耐久性のある木造建築が出来れば、更に投資価値の高い物件が可能となります。法定耐久年数で定められているように、一般的には22年とされている木造の耐用年数をこれからは実績で証明していかなければなりません。より安全で強い木造建築を作り、投資価値の高い不動産を作るため、設計から積極的に考えて参りたいと考えています。










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by atelier-bond | 2023-01-13 00:22 | こだわり | Comments(0)