珪藻土は自然素材ではない!?
2012年 04月 12日
珪藻土はアトリエボンドでは過去にも使用した事がありません。それは建築建材としての歴史があまりにも浅いのと、以前までは自然素材ではないという認識があったからです。
コテの塗り感が照明を使うとキレイに現れ、空間を演出してくれます。
珪藻土が自然素材ではないという書き方は少しおかしいので、改めて書き直すと、『珪藻土(土の名前)』は皆さんご存知の通り、
〜珪藻が海や湖沼などで大量に増殖し死滅すると、その死骸は水底に沈殿する。死骸の中の有機物の部分は徐々に分解されていき、最終的には二酸化ケイ素を主成分とする殻のみが残る。このようにしてできた珪藻の化石からなる岩石が珪藻土である。多くの場合白亜紀以降の地層から産出される〜(Wikipediaより抜粋)
要は海中の植物プランクトンの死骸が海底に堆積して固まった化石のことなんですね。
ですから『珪藻土(土の名前)』は自然素材なんです!珪藻土を使用したもので有名な物は『七輪』ですね。
ではややこしいお話ですが、建築業界で言う『珪藻土(建材名)』は壁に塗る材料のことですが、これが非常にややこしく、誤った使われ方をしている方も多いと思います。
『珪藻土(土の名前)』は自然素材ですが、『珪藻土(建材名)』が自然素材であるか?というとそれは違います(ほとんどが)。『珪藻土(土の名前)』は自然素材ですが、漆喰のように、自然に(漆喰は二酸化炭素を吸収して固まる)固まる事はありません。
○どうして固めるのか?
それは凝固剤を入れるから固まるのです。今の『珪藻土(建材名)』に含まれる凝固剤のほとんどは合成樹脂化合物を使って固めています。つまり自然素材を樹脂を使って固めているのが『珪藻土(建材名)』です。
※今は一部のメーカーで石灰を使って固めているところもあります。
合成樹脂化合物を入れると塗り壁で大きなクレームになるひび割れ等がおきにくいからです。『珪藻土(建材名)』に合成樹脂化合物が入っているか否かは塗る職人さんが一番良く知っています。合成樹脂化合物が入った『珪藻土(建材名)』を塗るとコテがカチカチに固まって次から使えないからです。
○本当にホルムアルデヒド等を吸着するのか?
実際にホルムアルデヒドを吸着しているかどうかは知りません。しかし漆喰は実際にその粒子の穴の部分に水分を吸ったり放出したりする事は間違いありません。実際に二酸化炭素で硬化する材料ですから。『珪藻土(土の名前)』はその孔が大きく断熱性も高いため、七輪でしようされているのですが、それに目をつけたメーカーがホルムアルデヒドを吸着するという風にうたいだしました。しかし『珪藻土(土の名前)』にはただ孔が空いているだけで、調湿することもありません。調湿させるために調湿材を調合しているからです。
○ではどうして調湿するのか?
シリカという二酸化ケイ素を使って調湿しているのですが、工業生産されるシリカで代表的なケイ酸をゲル化したシリカゲルというものを使用しています。これは消臭剤や食品の中に入っている乾燥剤にも使われているものです。ですから珪藻土が本来持っている能力ではないのです!
このシリカゲルがが入っているために、アトリエボンドでは『珪藻土(建材名)』を使ったことがありません。
○シリカゲルとは?
シリカゲルの原料シリカ(二酸化ケイ素)は珪肺症の原因物質とされています。特に結晶性シリカは肺ガンの原因とされており、国際がん研究機関(IARC:International Agency for Research on Cancer)より発がん性があるとの指摘がされています。
七輪にも使われているし、ビール等を濾過する時にも使われているので、安全だと思われるかも知れませんが、結晶性シリカは肺ガンの原因とされているので、飛散して吸い込むと健康に害をもたらす恐れがあるのです。七輪は焼き固めているので、まだ安心ですし、呼吸器系に入らなければ発がん性物質にはなりません。自分はその粒子のカタチがあのアスベストと似ていることにより、肺に害があると珪藻土メーカーの担当者に10年以上も前に聞いたことがあります。
※結晶性シリカが発ガン性物質なのですが、未焼成シリカは発ガン性物質とは言われていません。ただし、ほとんどのメーカーの『珪藻土(建材名)』は焼成する事で品質の安定性をはかっているそうです。
アトリエボンドで『珪藻土(建材名)』を使用していない理由は上記の通りです。まだ歴史の浅い建材なので、どういう風に劣化していくかわからないですし、10年以上前から発ガン性物質と言われるものが含まれていると聞いていたからです。ただし、全てのメーカーの商品に含まれている訳ではありません。また材料として悪いという訳ではありません。自然素材を合成樹脂化合物で固めた材料(建材になった時点で)なのに、それを知らずに『珪藻土(建材名)』=自然素材と言っている業者が多い事。お客様がメディアや間違った話に流されてしまっている事が問題で、材料としていいものなら自分も使いたいと思います。ただし、結晶性シリカの事があるので、それがハッキリ解消されない限り、使う事はないでしょう。
アトリエボンドでは自然素材を使用しますが、通常のペンキや化学物質が入った建材も当然使用します。それは化学物質を排除した家は現代では非常に難しく、お客様に負担がかかる事も多いからです。住宅は一生そこで生活して頂く場所なので、出来る限り自然素材を使用したと思いますが、訳の分からない物を自然素材と言ううたい文句で、消費者を混乱させてしまうことだけは避けたいと考えています。
※1、全てのメーカーの『珪藻土(建材名)』が、合成樹脂化合物を使っている訳ではありません。
※2、色んな色を使って見にくくなってしまい申し訳ありません。
アトリエボンドの事業は京都府の承認を頂いた事業です。
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